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主に数学とプログラミング、時々趣味について。

ゼータ関数を研究するよ!〜 part1.3 Euler Product&THEOREM1.1 〜

こんにちは。
これで三つ目です。やっとゼータ関数の話に入っていきます。

使っている教科書

The Riemann Zeta-Function: Theory and Applications (Dover Books on Mathematics)

The Riemann Zeta-Function: Theory and Applications (Dover Books on Mathematics)

前回までのあらすじ

ゼータ関数に関する研究の導入として"複素数複素数乗"を定義しました。

それではpart1.3。やっていきます。

DEFINITION OF \zeta(s)

part1.1で一度書きましたが、複素数の話に脱線したきり書いていなかったのでもう一度定義を確認します。



\displaystyle
\zeta(s) = \sum_{n=1}^{\infty}n^{-s}

またpart1.1で少し触れたように、この関数はs \geq 1 + \epsilonの範囲で収束します。証明も前回までの内容で簡単にできます。今回は、この関数を最初に研究し始めたと言われるL. Eulerさんによるオイラープロダクトを眺めるところから始めていきます。

素数との関連性

歴史的に、ゼータ関数素数が含まれた問題を扱うときに有力な道具として用いられることが多かったそうです。その歴史の原点とも言えるのがオイラーによる以下の式です。



\displaystyle
\sum_{n=1}^{\infty}n^{-s} = \prod_p (1-p^{-s})^{-1}

いわゆるオイラープロダクト。
右辺のpは"prime number"の頭文字で素数を表します。

本当に成り立つのかこれ笑
と、思ってwikiみたらめっちゃ簡単に証明されてました。ここからも素数の個数が無限であることが証明できるとは・・・面白いっすね・・・。気になる人は是非こちらのwikiを参照してください。わかりやすいので多分wikiだけで問題ないです。
オイラー積 - Wikipedia

ここでこの教科書ひとつ目の定理が登場。次の定理によりオイラープロダクトが証明されると書いてあります。wikiとは違うアプローチをしていくみたいですね。

THEOREM 1.1.

f(n)複素数の変数を持つ乗法的関数とし、\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}|f(n)|<\inftyを満たすとき以下が成立する。



\displaystyle
\sum_{n=1}^{\infty}f(n)=\prod_{p}(1+f(p)+f(p^2)+f(p^3)+\cdots)

※正直ちゃんと訳せてる気がしない。"複素数の変数を持つ"というところは"Let f(n) be a real or complex-valued multiplicative function"と書いてありました。n複素数なのか?とも思ったのですが乗法的関数の定義などから、それはない。と思い上のような解釈をしました。つまり"real or complex-valued multiplicative function"というのはゼータ関数のような、関数内に複素数の変数を持つ関数のことを指していると考えています。違ったら追記で訂正します。

さて、上の定理の言わんとすることを整理していきましょう。

乗法的関数:multiplicative function

まず、乗法的関数ってなんやねん、というところから。

乗法的関数とは次のような性質を満たす関数です。


数論的関数f(n)に対して

\displaystyle
f(mn)=f(m)f(n)\ \ \  \rm{if}\ (m,n)=1
を満たすものを乗法的関数という。

ここにある数論的関数とは定義域が正の整数であり、値域が複素数全体にわたる関数のことを言います。ゼータ関数の変数sを固定して、nの関数としてみた時、その新たな関数は数論的関数と言えますね。
またその中でも、m,nが互いに素である時上の条件を満たすならばそれを乗法的関数と呼ぶ、と言っているわけですね。

ってことで定理の解釈

この定理は、
上の条件を満たすf(n)の無限和は、"素数自然数(0を含む)乗ごとの和" にグループ分けして因数分解できるよ!!
ってことを言っているわけですね。さてこっからどのように話が展開されるのか。

今回はここまで

長くなってきたので、このへんで一回区切ります。
次回はこの定理の証明から始めて、証明が終わるところまで行ければいいかなあと。

なかなか進みませんが、楽しんでるからおっけいです。

まとめ

  1. ゼータと素数の関係を確認しました。
  2. オイラー積を紹介しました。
  3. オイラー積の証明に必要な定理を紹介しました。